ヴルカヌス・イン・ヨーロッパプログラム
 日本人学生対象

 

民間大使として:ベルギー王立セラミックス研究所

戸田 麻奈美

ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ2003参加
ベルギー王立セラミックス研究所(ベルギー)にて企業研修
応募当時、医学研究科 応用医工学専攻

 

<はじめに>

私は、2003年度ヴルカヌスプログラムに参加し、1年に亘りヨーロッパでの語学研修および企業研修を行いました。体験したプログラムは、下記の通りです。

1. 3日間の欧州事情研究(ベルギー:ブリュッセル)

2. 4ヶ月間の語学研修(フランス:アンボワーズ)

3. 8ヶ月間の企業研修(ベルギー:モンス)

ベルギーは、北部フランドル州はフラマン語(オランダ語の方言)、南部ワロン州はフランス語、首都ブリュッセルは2言語併用地域、さらにドイツ国境付近はドイツ語が公用語の地域に分類できます。企業研修は、ベルギー南部のワロン州にある、ベルギー王立セラミックス研究所(Belgian Ceramics Research Centre)であったため、研修言語はフランス語を習得することになりました。専門技術のスキルアップをすると同時に、ヨーロッパの文化を受け入れ、民間大使として、人と人との信頼関係を構築することを目標に渡航しました。

Testimonials BCRC 1

2003年度の参加者たちと一緒に

 

<語学研修について>

現地の家庭でファミリーの一員として過ごす生活は、文化に直接触れることのできる絶好の機会であり、語学力を向上させる上でも最適な環境でした。ホストファミリーは、過去に外国人の受け入れ経験があり、留学生に理解のある方でした。滞在中は、別の留学生(ドイツ人、ブラジル人)も受け入れており、複数の文化が入り混じる楽しい時間でした。

VIE Testimonials BCRC 2

ステイ先にて

 

アンボワーズ市は、パリの南西、ロワール河のほとりに位置し、温暖な気候と風景美から「フランスの庭」と称される歴史ある城下町です。観光は勿論、近年は工場誘致を積極的に図り、工業も発達しています。アンボワーズ周辺は、トゥーレーヌ地方とよばれ、フランスの中で最も標準的なフランス語を話す地方として知られています。

語学学校は、レベルが10段階に分かれており、50分/レッスンで25レッスン/週というプログラムでした。授業が始まってすぐの頃は、環境適応に追われ、講師が話している言葉の意味を想像する日々でしたが、決して受身の姿勢を取らず積極的に言葉を使うように過ごしていました。

 

<企業研修について>

フランスでの4ヶ月間のホームステイを終え、ベルギーでは地元の学生10人とアパートをシェアして生活しました。生活は完全に自立していましたが、日常生活において語学面での苦労はありませんでした。

モンスのあるワロン州は、鋼鉄と石炭の産地として中世から歴史的に産業活動が盛んです。このような伝統産業は今も重要な役割を担っている一方でハイテク技術産業に転換しつつある魅力的な地域です。特に、モンスはセラミック新素材や通信技術などの研究開発でよく知られています。

私が企業研修を行ったベルギー王立セラミックス研究所は、様々な国との共同研究や技術支援を行っています。まず、研修で習得しようとする技術や研修スタイルなどについて議論を行うことから始めました。私は、自分の研究関心と離れたことは可能な限り避けたいということ、限られた時間の使い方についての考えを伝えました。

研究所では、ある研究テーマの下、多くのエンジニアとの意見交換の場を持つこと、フランス語の文献調査を行うことが日課となっていました。研究所での生活では、専門用語や表現力(プレゼン手法)を習得でき、また各国のエンジニアとのコミュニケーション力も身につけることができました。

さらに、研修期間中に、指導教官であった井奥洪二教授(現 東北大学)が研究所へ来訪され、教授をゲストスピーカーとする研究討論会を開催することができました。その際に、周辺大学(ヴァロンシエンヌ大学、モンス工科大学)、NGK Ceramics Europeへも訪問する機会を得ました。特に、モンス工科大学では、各種実験装置を紹介していただき、その後の研修生活でも研究テーマへの意見交換が続きました。さらに、NGK Ceramics Europeの浅見社長には、留学生活を支えていただき、研究者としての姿勢も教わることができました。

VIE testimonials BCRC3

研修先にて同僚と

 

<まとめ>

ヨーロッパだけでなく、各国間の障壁が低くなった現在、語学も知識だけでなく、仕事で役立つ実用面での理解力が大切であると思います。インターンシップを行う際に最も大事なことは、人と人との信頼関係です。海外での生活では、自分の意思や考えを相手に伝え、同時に、相手の考えを汲み取ることが必要でした。異文化に触れ、それを理解することは、自分を見つめ、自己の成長の糧となりました。この研修期間は、大学で学んだ専門知識を生かし、海外研修を通じてその知識を深め、技術・応用力を身につけることができました。

Ce qui n'est pas clair n'est pas francais.(明晰ならざるもの、フランス的にあらず)。この一文は、1783年の「フランス語の普遍性について」という論文の中にあります。この研修を通じて、フランス語の特質およびフランスのエスプリを身をもって理解することができました。

現在は、セラミックスから離れ、ポリプロピレン樹脂の研究開発に携わっています。業務を通じて、日本とヨーロッパの産業発展の一助を担うことが今後の目標です。

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日欧産業協力センターにおける政策分析を担う特別研究員(ミネルヴァ・フェロー)を募集しています。研究員は日欧産業協力センターが指定する優先課題(主に経済・産業関係のテーマ)について調査・分析等を行い政策レポートを作成します。そのほかにも、メディアのモニタリング、政策ブリーフィング、セミナーレポートなどセンターの政策分析活動の補佐をします。
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ヴルカヌス・イン・ヨーロッパは、日欧産業関係の架け橋となる若手人材の育成を目的とした「企業インターンシップ」事業です。毎年20名程度の日本の理工系大学生を欧州へ派遣しています。学生の募集要項はこのホームページで随時お知らせします。

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