水素ボート船舶|CMB×常石グループ

Hydro Bingo

 

ベルギーの大手総合海運会社CMB(Compagnie Maritime Belge)は、日本の海運・造船会社の常石グループと、2019年より様々な共同事業を立ち上げています。両社は日本市場に向けた水素燃料船舶を共に開発しており、世界初の80人乗りの水素燃料フェリーに続き、2021年には更なるプロジェクトを展開する上で合弁会社を設立すると発表しました。

パートナー

世界有数の大手海運グループ、CMB

freight boat

 CMBは、ベルギー・アントワープ市に本社を構え、日本を含む世界各地に拠点を持つ、40年の歴史を誇る総合海運・物流グループです。CMBは海運大手企業として、水素燃料船舶の移行に積極的に取り組んでおり、注目を集めています。2017年以降、様々な水素エンジン・水素混焼エンジン等を開発しています。

 CMBクリーンセグメントのCMB.TECHは、2017年に世界初の水素旅客船「ハイドルビル」、2021年に世界初のマルチモーダル水素補給ステーション、同年末にはオランダ洋上風力発電所で使用する水素移送船「ハイドロキャット」の運航を発表しました。また、現在CMB.TECHは、水素と軽油の混焼エンジンを搭載したタグボート「ハイドロタグ」の開発を進めています。

総合海運・造船グループ、常石グループ

 1903年設立、海運・造船事業から始まった常石グループは、現在ではエネルギー、環境、ライフ&リゾートなどの多様な事業を展開しており、この度のCMBとの提携に関しては、常石グループのうち2社が携わっています。

 広島県尾道市に本社を置くツネイシクラフト&ファシリティーズ株式会社は、常石グループ造船セグメントの関連企業です。同社はアルミ(軽合金)製船舶の建造・修理、救命艇の保守点検、ダイビングボートの製造、総合建設業などを行っています。また、同社は電気推進船の建造も行っており、ゼロ・エミッション船を目指す同社にとって水素船舶は大きな期待を寄せています。

 神原汽船株式会社は、広島県福山市に本社を置く常石グループの源流企業として知られており、現在は海運セグメントに属しています。1903年創業当初から日本と中国を結ぶ定期コンテナ船を運航しており、現在はフィリピン・中国などに向け、常石グループの造船事業に必要な機材・船室を輸送しています。

tsuneishi

パートナーシップ : ジャパンハイドロ株式会社(JPN H2YDRO)

 日本政府が2020年末に発表した2050年のカーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略では、日本の脱炭素化および経済成長の両面における水素の重要な役割が再認識されました。水素戦略の公表と、日本の造船会社が培った低燃費船舶開発に関するノウハウは、日本での水素船舶を造船・運用する上で有望な基盤となっています。

 このような背景から、CMBと常石グループは2018年、業務提携の合意に向けた協議を開始しました。翌年、両社は水素混載エンジン搭載の世界初の小型旅客船「ハイドロびんご(Hydro BINGO)」の開発に着手しており、乗客定員80名のこの船は、2021年7月中旬に竣工されました。

hydro bingo

 

 

2021年4月に業務提携の基本合意書を締結し、CMB水素内燃機関システム(H2ICE)などの国内輸入販売・総代理店業、さらには船舶・港湾・海洋分野を中心とする環境ソリューションの提供を行う新しい合弁会社「ジャパンハイドロ株式会社(JPN H2YDRO)」を設立しました。

 同社は、日本での水素内燃機関技術開発をサポートするために、水素燃料エンジンの環境性能検証・改善、適用可能な船舶・機器の設計支援、陸上・大型船への適用に向けたソリューションを提供するための研究施設を設立予定です。また、アジア初の水素推進タグボート「HydroPhoenix」の開発に取り組んでおり、洋上風力発電所のサポート船の開発も検討しています。

 このように、CMBと常石グループは、欧州や日本における脱炭素化の流れの中で関係を強化しています。CMBは、このような国際的なパートナーシップを進めるうえで、まず「ビジョンを共有し、お互いを尊重することが最も重要」であるとし、「文化の違いに寛容であることがパートナーシップをより良いものにする」と述べました。

 欧州の企業にとって、日本での水素内燃機関技術導入には、生産規模の拡大や燃料補給インフラの整備が必要であるため、水素の生産コストおよび供給の難しさが課題です。この課題に対処するため、CMBは2021年2月に伊藤忠商事株式会社・日本コークス工業株式会社とパートナーシップを結び、地産地消型の水素サプライチェーンの構築に取り組む等、積極的に活動しています。

 

参考

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