カエタノは、1946年に設立されたポルトガルの大手バス製造業者でです。同社製品は世界各国に輸出されており、空港バスのマーケットリーダーである「COBUS」ブランドのバスも製造しています。
2015年からは電動バスの販売を開始し、再生可能エネルギーを使用し、汚染が少なく、都市部での騒音を最小限に抑えるバスを作ることで、持続可能な社会への貢献を目指しています。2014年、世界初の空港専用の100%電動バス「e.Cobus」を公開しました。現在、さらに2種類の電動バスを発売しています。2016年に発表した「e.City Gold」は、都市部向けの100%電動バスです。また、カエタノは現在、トヨタ自動車と共に燃料電池バスの開発を積極的に推進(「H2.City Gold」)。さらに、空港バスを中心に自動運転の導入にも取り組むなど、次世代への挑戦を進めています。
三井物産は、1947年に設立された金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、鉄鋼製品、食品などを扱う大手総合商社です。
三井物産は、「世界中の未来をつくる」というミッションのもと、持続可能な社会の発展と地球規模の課題の解決に貢献することを目指しています。三井物産は国内外のESG投資指数に選定されるなど、サステナビリティへの取組みは数え切れないほど社会から評価されています。三井物産は、よりクリーンで環境に優しい社会への鍵が電気自動車はであると捉えています。
現在、欧州や中国を中心に、世界中で電気自動車の普及が急速に進んでいます。特に電動バスには公共交通ソリューションの中心的な役割を担っていくことが期待されており、大きな飛躍が予想されています。三井物産のネットワークを活用することで、カエタノの技術力をいっそう強化すると同時に、新たな市場への進出を加速し、事業の壁をこえたビジネスの可能性をも広げることができるという魅力から、三井物産からのカエタノへの投資は、2016年から検討が開始されました。
公共交通機関であるバスは、自家用車に比べて利用頻度が非常に高く、環境面や経済面でのメリットが明確であることから、電動化のメリットが大きいです。今後都市のスマート化が進んでいく上で、グリーンな公共交通機関として中心的な役割を果たしていくことが期待されており、さらにカエタノは次世代への挑戦にも積極的に取り組んでいることから、未来へのポテンシャルを強く感じ、出資参画が決まりました。現在、カエタノバスの5人の取締役のうち2人が三井物産出身であり、新たなビジネス開発に共に挑んでいます。
三井物産は、自社のグローバルネットワークを活かすことで、カエタノの電動バスの拡販を進め、欧州はもちろんアジア市場にまで進出し、両社の共通目標である持続可能な脱炭素社会の実現を目指しています。
カエタノの世界展開の一例として、2019年7月、カエタノはロンドンの路線バスに採用が決定しました。他社との熾烈な競争を勝ち抜き、2つの路線向けに、シングルデッカー電動バス「e.City Gold」34台の受注を勝ち取りました。入札にあたっては、三井物産のパートナーであり、ヨーロッパ全土で公共交通事業を展開するAbellio UK社と共同で手がけました。三井物産は現在、同社と共に英国の2つの地域で列車のフランチャイズを運営。そのノウハウを活かしていきます。また、カエタノの電動バス用電池システムは同じく三井物産の出資先であるフランスのForsee Power社が提供。ここでも私たちのネットワークが活かされています。同バスは、2020年3月からロンドンの街で運行を開始しました。
世界のアイドルであるロンドンの赤いバス、というシンボリックなを存在に選ばれたことは、カエタノ・三井物産双方のイメージアップに大きく繋がりました。
この成功は、カエタノの次の目標である世界への輸出を後押しすることになるでしょう。現在、欧州の大都市の多くは路線バスの電動化を進める方針を打ち出しており、カエタノが飛躍的な成長を遂げるチャンスが広がっています。
また、英国や日本と同様に左側通行のインド、シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイなど、アジア諸国も潜在的な市場と言え、その目線はまさに世界中に向けられています。