欧州で、次の成長をどう描くか。
単一市場のスケール、予見可能性の高い制度環境、そしてグリーン・デジタル分野を軸とした産業政策。こうした条件を背景に、日本企業は欧州各地で投資・事業展開を通じた成長モデルを着実に構築しています。本ページでは、製造、エネルギー、インフラ、先端技術などの分野における日本企業のEU域内での具体的な成功事例をご紹介します。

安川電機|スロベニア
分野: 産業用ロボット/先進製造
投資・展開のポイント:
・欧州初のロボット工場を2018年に設立
・2025年完成予定で2施設を新設(投資額:約3,200万ユーロ)
・欧州向けロボット流通センターと最先端のエンジニアリング拠点を整備
なぜこの国か:
・中東欧の製造拠点としての立地優位性
・EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)市場への直接供給体制を構築可能
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州では製造と物流を統合した拠点設計が競争力を高める
詳しく読む:
Further robot assembly and distribution facilities in Kočevje
https://www.yaskawa.co.jp/newsrelease/news/71447
https://sloveniatimes.com/40453/yaskawa-breaks-ground-on-32-million-expansion-in-kocevje
NTTデータ|オーストリア
分野: IT・デジタル/DX
投資・展開のポイント:
・20年以上にわたり現地でDX支援事業を展開
・自動化・AI、ITセキュリティ、サステナビリティ分野をカバー
なぜこの国か:
・DACH(ドイツ・オーストリア・スイス)および中東欧市場への戦略的アクセス
・安定した制度環境と高度IT人材の集積
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州では「1国=広域市場ハブ」として拠点設計することが重要
詳しく読む:https://investinaustria.at/en/blog/ntt-data-presses-ahead-with-digital-innovations-in-austria/
ゴドー(Godot Inc.)|オーストリア
分野: ディープテック/AI・R&D
投資・展開のポイント:
・超パーソナライゼーションAI「NudgeAI」の研究開発拠点を設立
・人間の意思決定力を強化する次世代AIを開発
なぜこの国か:
・R&D支援・助成制度が充実
・欧州各国への高いアクセス性
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州はスタートアップにとって「研究開発×市場展開」を両立できる環境
詳しく読む:https://investinaustria.at/en/blog/godot-inc/
ダイワハウス|ドイツ
分野: 建設・不動産/モジュール建築
投資・展開のポイント:
・学生寮・コミュニティ住宅を短工期で建設
・モジュラーハウス製造の大規模工場を設立
なぜこの国か:
・深刻な住宅不足と高い建設需要
・脱炭素・省エネ政策との高い親和性
日本企業にとっての示唆:
→ 日本の建設・製造技術は欧州の社会課題解決型市場で競争力を発揮
(Germany Trade & Invest / ドイツ貿易・投資振興機関 提供)
三井物産|ポルトガル
分野: エネルギー/モビリティ
投資・展開のポイント:
・Galpと協働し、HVO・SAF生産の合弁会社を設立
・使用済み食用油等を原料とする再生可能燃料を量産
なぜこの国か:
・再生可能エネルギー分野における先進的政策環境
・欧州の脱炭素・持続可能燃料市場への展開拠点
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州の脱炭素政策は、商業化を前提とした大規模投資機会を生む
詳しく読む:
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/03/544bbec5d6253c63.html
https://www.mitsui.com/solution/contents/solutions/lowc-fuel/486
カゴメ|ポルトガル
分野: 食品加工/R&D・スマート農業
投資・展開のポイント:
・製造拠点に加え、R&D・AI活用型スマート農業を強化
・2022年にNECと農業DX分野で連携
なぜこの国か:
・農業資源と研究環境のバランス
・欧州向け輸出拠点としての優位性
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州では製造に加え、R&DやDXを組み合わせた価値創出が有効
(ポルトガル貿易投資庁提供)
NTT DATA ITALIA|イタリア
分野: IT・デジタル/DX・R&D
投資・展開のポイント:
- 全国11拠点・6,000人超の体制でITサービスを提供
- 南部3地域にR&D・イノベーションセンターを設立
なぜこの国か:
- 産学官連携による人材・技術基盤
- 地域振興政策を活用した拠点展開の可能性
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州では地方拠点もR&D・DXの重要な成長基盤となり得る
武田薬品工業|イタリア
分野: ライフサイエンス/医薬品製造
投資・展開のポイント:
・血漿分画製造拠点に5,000万ユーロを追加投資
・生産能力を2019年比で大幅拡張
なぜこの国か:
・高度な技能人材と製造ノウハウの集積
・医薬品分野における安定した事業環境
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州は高度製造・品質重視型ビジネスに適した長期投資先
(イタリア大使館 貿易促進部提供)
丸紅|エストニア
分野: エネルギー/次世代蓄電
投資・展開のポイント:
・スーパーキャパシタ開発企業Skeleton社へ追加出資
・次世代蓄電池「SuperBattery」の量産工場建設を支援
なぜこの国か:
・次世代エネルギー技術を有するスタートアップ集積
・実証から量産までのスピード感ある環境
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州スタートアップ投資は、技術獲得と市場展開を同時に進められる
詳しく読む:https://www.marubeni.com/en/news/2023/release/00069.html
JBIC|北欧(VCファンド投資)
分野: スタートアップ投資/サステナビリティ
投資・展開のポイント:
・NordicNinja Fund IIへ5,800万ユーロを出資
・サステナビリティ×デジタル分野の企業育成を支援
なぜこの国か:
・SDGs・気候変動分野で世界をリードするエコシステム
・ユニコーン輩出による知見と資金の循環
日本企業にとっての示唆:
→ 北欧は中長期視点のイノベーション投資に適した地域
詳しく読む:https://www.jbic.go.jp/en/information/press/press-2023/press_00093.html
NAVA(Nordic Asian Venture Alliance)|北欧
分野: VC/イノベーション動向
投資・展開のポイント:
・日本のVC・CVCによる北欧投資163件(2013–2023年)
・日本は北欧最大の投資国
なぜこの国か:
・技術志向のスタートアップと開かれた投資環境
・日本企業との補完関係
日本企業にとっての示唆:
→ 北欧は日本企業にとって最も相性の良い欧州投資先の一つ
三菱HCキャピタル|デンマーク
分野: 再生可能エネルギー/グリーン燃料
投資・展開のポイント:
・European Energy社へ約7億ユーロを出資
・e-メタノール・グリーン水素事業を支援
なぜこの国か:
・再エネ政策の先進性と明確な市場設計
・クリーンテック・クラスターの集積
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州のエネルギー転換は金融・投資ビジネスの成長機会を生む
(デンマーク王国大使館 投資部提供)
伊藤忠商事|フィンランド
分野: 素材/サステナブル包装
投資・展開のポイント:
・繊維ベース包装材企業Paptic社へ出資
・プラスチック代替素材の事業化を支援
なぜこの国か:
・サーキュラーエコノミー分野の先進性
・オープンな実証・研究環境
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州の環境規制は新素材・新市場を生む起点となる
詳しく読む:https://www.businessfinland.com/news/2021/itochu-corporation-invests-in-paptic/
アマダ|フィンランド
分野: 製造業/オートメーション
投資・展開のポイント:
・自動化ソリューション企業を完全買収
・欧州最大の自動化製造拠点を拡張
なぜこの国か:
・高度なエンジニアリング文化
・欧州全域向け生産・供給拠点としての適性
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州拠点は製造・技術の中核として設計できる
詳しく読む:https://www.businessfinland.com/cases/2023/amada-steers-their-big-european-push-from-finland/
三菱ロジスネクスト|フィンランド
分野: 物流/AGV・自動化
投資・展開のポイント:
・フィンランドのAGV技術へ継続投資
・高度自動化物流ソリューションを展開
なぜこの国か:
・強固な研究開発ネットワーク
・マテリアルハンドリング分野の技術集積
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州の専門技術はグローバル競争力の源泉となる
詳しく読む:https://www.businessfinland.com/cases/2024/finnish-agv-expertise-attracts-investment-from-japan/
IHIインフラシステム|ルーマニア
分野: 大規模インフラ/建設
投資・展開のポイント:
・EU有数の長大吊橋「ブライラ橋」を建設(2023年開通)
・東欧地域の物流・接続性を大幅に改善
なぜこの国か:
・EU結束政策の下で進む大型公共インフラ需要
・高度な土木技術が評価される市場環境
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州では公共インフラ分野においても日本の技術力が高く評価される
詳しく読む:
https://www.ihi.co.jp/all_news/2023/infrastructure/1199822_3540.html
トヨタ|ポーランド
分野: 自動車/先進パワートレイン
投資・展開のポイント:
・西部2拠点に累計15億ユーロ超を投資
・ハイブリッド用トランスミッション・先進エンジンを生産
なぜこの国か:
・製造人材の厚みと競争力のあるコスト構造
・欧州自動車サプライチェーンの中核立地
日本企業にとっての示唆:
→ 中東欧は高付加価値製造を支える戦略拠点として有効
ダイキン|ポーランド
分野: グリーンテクノロジー/製造
投資・展開のポイント:
・約3.1億ユーロを投じヒートポンプ工場を新設
・2030年までに約3,000人の雇用創出を見込む
なぜこの国か:
・欧州の脱炭素政策とヒートポンプ需要の拡大
・大規模製造に適した産業基盤
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州の気候政策は製造業にとって長期的な成長市場を生む
富士通|ポーランド
分野: ITサービス/グローバルデリバリー
投資・展開のポイント:
・ウッチ・カトヴィツェにグローバル拠点を展開
・20以上の言語で24時間365日サービスを提供
なぜこの国か:
・高度IT人材と多言語対応力
・欧州全域をカバーする運営拠点としての優位性
日本企業にとっての示唆:
→ 中東欧はIT・BPO分野のグローバル拠点として競争力が高い
(ポーランド投資・貿易庁提供)
アストロスケール|フランス
分野: 宇宙・先端技術/軌道上サービス
投資・展開のポイント:
・フランス子会社を設立し、スペースデブリ除去事業を展開
・CNES(仏国立宇宙研究センター)と連携した国家プロジェクトに参画
なぜこの国か:
・欧州有数の宇宙産業・研究開発エコシステム
・公的資金を活用した先端技術の実証環境
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州では公的機関との連携が先端分野の事業化を加速させる
村田製作所|フランス
分野: 電子部品/先端製造
投資・展開のポイント:
・シリコンキャパシタの新生産ラインを設置
・医療・通信インフラ向け高付加価値部品の供給を拡大
なぜこの国か:
・半導体・電子分野における技術基盤
・欧州顧客への安定供給体制の構築
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州は高信頼・高品質部品の製造拠点として適性が高い
アイリスオーヤマ|フランス
分野: 家電・製造/ローカル生産
投資・展開のポイント:
・欧州向け製品の生産ラインを現地に設置
・中国生産からフランス国内生産へシフト
なぜこの国か:
・欧州市場への近接性
・サプライチェーン強靭化とリードタイム短縮
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州生産はリスク分散と市場対応力の両立につながる
(在日フランス大使館 貿易投資庁 - ビジネスフランス提供)
PROTEC ARISAWA EUROPE|スペイン(バスク州)
分野: 素材・水処理/グローバル製造
投資・展開のポイント:
・FRP圧力容器分野で世界的リーダーの地位を確立
・欧州拠点から3大陸向けに製品を供給
なぜこの国か:
・水処理・環境技術分野の集積
・欧州・中東・アフリカへの展開拠点
日本企業にとっての示唆:
→ 欧州拠点はグローバル供給の中核として機能し得る
ハイファイブ(丸紅関連)|スペイン
分野: 再生可能エネルギー/水素・e-メタノール
投資・展開のポイント:
・再生可能水素・合成燃料のバリューチェーン事業を展開
・南欧を中心に事業を拡大
なぜこの国か:
・再エネ資源の豊富さ
・欧州グリーン燃料市場への近接性
日本企業にとっての示唆:
→ 南欧は次世代エネルギー事業の実装拠点として有望
(バスク州政府貿易投資事務所提供)
これらの事例は、日本企業が欧州を単なる「輸出先」としてではなく、研究開発、製造、投資、そして事業拡大を支える戦略拠点として活用していることを示しています。EU単一市場のスケールと制度環境を活かしながら、成長戦略を実装する舞台として、欧州は今、確かな選択肢となっています。
免責事項
日欧産業協力センターは、このウェブページで紹介されている募集や提案には一切関与していません(すなわち、募集に関連して提出された質問や申し出の受付や処理には一切関与していません)。本ウェブページの内容は、一般的な情報および非商業的な目的でのみ利用可能です。本ウェブページは、包括的または最新であることを主張するものではなく、法的またはその他の助言を提供することを意図するものではありません。いかなる方も、資格を有する専門家の助言を得ることなく、本ウェブページの内容に依拠すべきではありません。
本ウェブページに掲載されている募集やその他の提案以外の「欧州投資ハブ」に関するご質問は、担当Eメールまでお問い合わせください: kenji.matei.obayashi@eu-japan.or.jp