ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ 2025年度派遣
語学研修:イギリス(英語)
企業研修地:ベルギー
派遣企業:PEC
応募時の学年:豊田工業大学4年
はじめに
私は大学院1年生に進学したタイミングで本プログラムに参加しました。本プログラムは大学1年生の頃に大学で行われた留学報告会で知り、大学院に上がったタイミング、つまり就活を始める直前に参加すると決めていました。
私はずっと海外への憧れをもっており、学部時代はシドニーへの語学留学、UC Davis校でのサマーキャンプの参加などできるだけ海外に触れてきました。しかし、将来のキャリアを考えた時に留学の経験だけでは海外で働くという決断ができませんでした。それまで日本の企業でインターンをしたり、アルバイトをしたりと働く経験はしてきました。しかし、国際舞台で活躍するエンジニアになるためには海外で実際に働き、自分の目で見て体験することが不可欠だと考えました。そこで、私は就活をする前に海外で実務経験を積むことを決意しました。
語学研修
語学研修では、英語力向上のためにイングランドのニューカッスルに3か月間滞在しました。初日からホストファミリーに温かく迎えられ、私のヴルカヌスプログラムがスタートしました。ホストファザーは英語教師のイギリス人で、ホストマザーは中国出身でした。日常生活の中で細かな言い回しの指摘を受けたり、英語学習者であるホストマザーから学習のコツを教えてもらったりと、家庭内でも多くの学びがありました。また、同時期にはサウジアラビア出身のホームステイメイトが2人おり、文化や宗教の違いを身近に体感することができました。
語学学校では、IELTSやケンブリッジ英検対策の授業が行われ、基礎的な文法・語彙からディスカッションまで、英語の4技能を総合的に鍛えるカリキュラムが組まれていました。学生の国籍は多様で、サウジアラビア、スペイン、イタリア、トルコ、韓国などから来ており、私が在籍していた期間は日本人が私一人だけだったため、英語に集中できる非常に良い環境でした。放課後や週末には、語学学校のアクティビティに参加したり、ビーチやPUBに出かけたりと、現地の文化を楽しみながら学びを深めました。

企業研修
研修企業はPECという企業で、主にギガファクトリー向けのバッテリーセル活性化装置や、EVなどに使われているバッテリーの測定機器などを販売していました。所属したアフターセールス部門は9名の多国籍メンバーで構成され、日常業務はすべて英語で行われていました。主な業務は、顧客からの技術的な問い合わせへの対応、機器の修理、在庫管理、そして顧客先での装置の設置や修理のサポートでした。
研修開始直後は、約70ページの英語マニュアルを読み込み、アメリカ拠点の上司によるオンラインレクチャーを受けながら、業務内容の理解に努めました。専門用語が多く、当初は議論についていくことに苦労しましたが、用語集を作るなど工夫を重ねることで、徐々に自信を持って業務に取り組めるようになりました。また、問い合わせ対応や事務手続きの流れが複雑だったため、業務全体をフローチャートにまとめて手順を整理しました。その結果、業務の流れを俯瞰できるようになり、研修開始から3か月ほどで、問い合わせの受付から解決策の提示までを自ら判断して進められるようになりました。
さらに、顧客先への出張には6回参加しました。現場ではインターンの学生ではなく、1人のエンジニアとして扱われ、責任ある行動が求められました。原因がすぐには特定できないトラブルに対し、限られた情報から仮説を立て、検証を重ねながら解決へ導いた経験は、机上では得られない学びとなりました。
私が所属した部門はAfter-Sales部門ということもあり、部門内のメンバーの入れ替わりが多かったため、情報共有の徹底を意識しました。チャットや共有資料を活用し、進捗を必ず記録に残すように心がけました。また、ソフトウェア部門と協力して顧客対応をした際には、専門分野の違いを越えて協働することの難しさと重要性を実感しました。
加えて、研修の途中で、東京で開催される展示会の存在を知り、技術営業兼通訳としてその展示会への参加を提案し、セールス部門の業務にも関わりました。日本市場向けの顧客リストの作成や招待メールの準備に加え、日本語版製品パンフレットの作成を主導しました。技術的な特徴をそのまま伝えるのではなく、顧客にとっての価値として表現する難しさを学び、技術とビジネスの両面から物事を見る視点を得ることができました。帰国後に行われた展示会では研修で学んだ知識や語彙を活かして日本の潜在顧客とPECを繋ぐ責任ある役割を担いました。
ベルギーではLeuvenという街に滞在しました。この街には大きな大学があり、いわゆる学生の街でした。学期の初めには街全体でイベントが行われ、多くの学生が夜通し街に溢れることもありました。また、日本人の留学生も多く、時々イベントに行って日本人や日本学科で学ぶ学生と交流をしていました。
Leuvenでの生活で一番印象に残っている経験は、最後に住んだ家のオーナーとの生活でした。彼はベルギー人で、私にとって一番親しくなった現地人でした。お互いのCuisineを作りあって、政治や宗教、移民について語り合った夜もありました。日本人として考える情勢とベルギー人として考える情勢、多くの意見を交換し合えたことは良い経験でした。
また、ほとんど毎週末に欧州各国を旅行しました。常に誰かを訪ねる旅でした。ヴルカヌスの同期をはじめ、語学学校で出会った友人を訪ねて回った経験は非常に価値のあるものでした。結果的にベルギーに滞在した半年間で14ヶ国も訪れることができました。
今後の展望
イギリスでの語学研修とベルギーでの企業研修を通して、海外で生活することや働くことを身をもって経験しました。多様な文化や背景を持つ人々と共に働く中で、当初の「海外で挑戦したい」という漠然とした思いは、より具体的な将来像へと変わっていきました。
言語や価値観の違いがある環境で合意を形成する難しさ、そして問題を粘り強く整理し解決していく姿勢の重要性を学んだことは、今後のキャリアにおいて大きな財産になると感じています。
今後は、本プログラムで得た経験を土台に、日本と欧州をつなぐ技術者として成長し、自動車業界の発展に貢献していきたいです。
最後に
今回このようなプログラムを提供してくださった日欧産業協力センターの皆様に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。ずっと志してきたプログラムに参加できたことを非常に嬉しく思います。
長い欧州での生活では、わからないことや困ったことも数え切れませんが、それらを乗り越えた経験は今ではかけがえのない財産となっています。
非常に魅力的なプログラムだと感じています。興味がある方はぜひチャレンジしてみてください!
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