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EUという市場は、なぜ日本の企業や投資家にとって魅力的と言えるのでしょうか?

 

EU は 5 億人以上の消費者を抱える世界最大級の単一市場であり、安定した制度環境、多様な産業基盤、強固なサプライチェーンを備えています。本ページでは、最新統計当センター発行の資料に基づき、日本企業にとっての EU 市場の主な魅力と制度的メリットを整理しています。

Europe, a strike of genius© European Communities, 1997 – Source: EC Audiovisual Service

1. 市場そのものの魅力

■ 世界最大級の需要市場

EU は世界経済の中心的プレーヤーとして、財・サービスの両面で巨大な需要を形成しています。

・財の貿易(2024年)

輸出:2.58兆ユーロ

輸入:2.43兆ユーロ

・サービス貿易(2023年)

輸出:1.4兆ユーロ

輸入:1.27兆ユーロ

 

製造業からICT・金融・コンサルティングまで、多様な産業が継続的に成長しています。

 

■ 国際サプライチェーンの中心的役割

英国、トルコ、ノルウェーなど周辺国の 40〜60%の貿易相手がEU であり、欧州は世界的なサプライチェーンの主要拠点です。EU域内に拠点を置くことで、広域市場および国際物流ネットワークへのアクセスが大きく広がります。

 

■ 世界最大級の投資受入・投資発信地

・世界の海外直接投資(FDI)の約25%をEUが受け入れ

・EU企業は世界の約3分の1の対外FDIを保有

透明性の高い規制環境、法の支配、予見可能性のある制度により、長期的投資に適した市場と評価されています。欧州拠点は 第三国展開のハブ としても機能します。

 

■ 多様で大規模な消費者市場

EUは世界の国際観光客の 36.8% を受け入れており、B2C市場としても大きな規模と潜在力を有します。

 

2. EU単一市場の進化と投資環境の強化に向けた取り組み

EU単一市場(Single Market)は、財・サービス・資本・労働が自由に移動できる制度上の統合空間であり、日本企業が欧州で事業を行う際の実務面で大きな利点をもたらします。

 

■ 規制の共通化による負担軽減

EUは、4億4,000万人の消費者を擁する単一市場として、EU全域を一つの市場として事業展開できる環境を提供しています。

・EU規則(Regulation)や指令(Directive)により加盟国ごとに異なっていたルールがEUレベルで調和

・複数国にまたがる事業展開においてコンプライアンス対応や調整に伴う負担の軽減が期待

・EU全体を前提とした中長期的な投資・事業戦略を立てやすい環境

 

近年、EUでは、単一市場をより分かりやすく、より使いやすいものにすることが重視されています。

・ルールの一貫性・透明性の向上

・制度運用の明確化・効率化

・国境を越えた投資・事業拡大を前提とした環境整備

これらは、EU域内で投資し、事業を立ち上げ、拡大していく上での重要な前提条件となっています。

 

こうした流れを象徴する一例が、2024年に欧州委員会の要請を受けて、欧州中央銀行(ECB)前総裁のマリオ・ドラギ氏が取りまとめた『欧州競争力の将来(The Future of European Competitiveness)』です。

 

同レポートでは、

・より統合され、明確で一貫性のある単一市場

・企業がEU域内全体を一つの市場として捉えやすくなることの重要性

 

が示されており、EUが投資環境の改善を中長期的な視点で重視していることを示す材料の一つとなっています。

 

ドラギ・レポートが示した方向性も踏まえ、EUでは、競争力強化と高い社会・環境基準の両立を前提に、

・規制の簡素化(Simplification)

・行政手続きの効率化

・制度全体の分かりやすさの向上

 

に向けた取組が進められています。欧州委員会は、企業が中長期的な視点で投資や事業計画を立てやすい環境の整備を目指しています。日本企業にとって重要なのは、EUが

 

・規制の共通化・簡素化を一時的な対応ではなく、中長期的な政策の方向性として位置づけている

・単一市場の強みをさらに活かしながら安定的で予見可能な投資環境の整備を進めている

 

という点です。これは、欧州での投資や事業展開を安心して検討できる要因の一つとなります。

 

■ EU全域に事業展開しやすい制度設計

相互承認原則により、ある加盟国での登録・認証で EU 27カ国全域にアクセス可能 です。市場参入の手続きが簡素化され、事業の横展開が容易になります。

 

■ 公共調達市場への参入機会の拡大

単一市場により、EU 加盟国の公共調達案件が広く開放されており、日本企業も EU 域内の幅広い政府調達案件に参加可能 です。

 

■ 特許保護コスト削減(EU統一特許)

新たに導入された EU統一特許(Unitary Patent) により、特許の取得・維持に関わる費用が大幅に削減(最大80%)され、知財管理も効率化されます。

Read-out of the weekly meeting of the von der Leyen Commission by Stéphane Séjourné, Executive Vice-President of the European Commission, on the Single Market Strategy and Fourth Omnibus proposal on small mid-caps

© European Union, 2025 – Source: EC Audiovisual Service – Photo: Lukasz Kobus

 

3. EU規制の影響力(ブリュッセル効果)

EUは環境・デジタル・人権・競争政策など多くの分野で先進的なルールを最も早く整備しており、その基準は域外に及びます。
この現象は 「ブリュッセル効果(Brussels Effect)」 と呼ばれ、事実上の国際標準化を生み出しています。

■ 日本企業にとって重要な理由

・EUが制定する基準は、アジア・北米など他地域の制度にも影響

・EU基準への適合が、グローバル展開の前提となる分野が増加

・EUの制度動向が国内規制にも波及することがある

■ EU進出によって得られる“攻めのメリット”

・EU規制や政策動向を 早期に把握 できる

・EU基準を満たすことが 自社の国際競争力の向上 につながる

・グリーン・デジタル分野での協業・共同投資の機会(InvestEU、EIB/EIF 等)

・欧州企業ネットワークを活かし 第三国展開が進めやすい

 

4. 日EU経済連携協定(EPA)による事業環境の改善

2019年に発効した日EU経済連携協定(EPA)は、EUでビジネスを行う日本企業にとって重要な制度的基盤です。

■ EPAの主なメリット

・工業品を中心に 関税をほぼ全面撤廃(約99%)

・日本の地理的表示(GI)131品目をEUが保護

・電子商取引、知財、競争、国有企業等に関する先進的ルール

・規制協力の強化により、予見性の高いビジネス環境が整備

EPA発効後、日EU貿易は安定的に成長を続けています。

 

 

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