ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ 2023年度派遣
応募時点:北海道大学工学部機械知能工学科4年
渡航時点:北海道大学工学院応用量子理工学専攻修士1年(休学)
2024年9月現在:Erasmus Mundus Joint Master in manufacturing 4.0 by intelligence and sustainable technologies修士1年
志望理由
様々な目的、願望が複合要因となって本プログラムに応募したため、志望理由はこれです、とユニークに書くことはできません。ただ、海外で働くためには海外で学位を所得する方がよいだろう、そのためには海外大学院に合格する必要があり、入学審査において重要な推薦状をインターンシップ先の上司から貰おう、という考えが志望理由の大きな部分を占めていたことに間違いありません。また、就職する前に、長期インターンシップを欧州で経験し、海外で働くということの解像度を上げようと思ったことも理由の一つです。結果として、本プログラムでの経験が後押しとなりErasmus Mundus Joint Masterというヨーロッパの複数の大学で共同修士課程を取れるプログラムに合格しました。
まず、私が語学研修と企業研修を行った街は、ボローニャというイタリアの中部にある小さな街でした。日本人にもなじみのあるボローネーゼやラザーニャが生まれた美食の街として知られていながら、ヨーロッパ最古の大学がある学問の街としても有名で、若者が過ごしやすい雰囲気のある場所だったと思います。小さい街ながら見どころもあり、ポルティコ群と呼ばれるアーケードが世界遺産として登録されています。



語学研修
グループワークでひたすら空気を読み、何をしているか予想してどうにか迷惑をかけないようにする、というのが語学研修最初の2週間でした。渡欧前にイタリア語の文法書を2、3週していたので、板書を読むことに難はありませんでしたが、イタリア語でイタリア語を教えるため、何を喋っているのか全く分かりませんでした。しかし、運のいいことにイタリア語の発音が日本語の発音に非常に近く、一切練習しなくても、音に慣れるだけでクリアに聞こえるようになりました。授業内容も文法の説明なので一度勉強したことの復習として働き、リスニング能力の向上と共にイタリア語の基礎も固められました。しかし、自分が2か月かけて到達したイタリア語のレベルに、フランス人が教科書も読まず1週間で到達したことに衝撃を受け、かなり落ち込むという時期もありました。さすがに何か裏があるはずだと思い、言語について調べることにはまっていきましたが、フランス語はイタリア語と同じくして、ラテン語という言語から派生した言語のため、文法や語彙が大変似ているということがみそでした。彼らからすれば、ラテン語族は癖が強い方言程度らしく、勉強したことがなくとも相手が言いたいことの要点はつかめるらしいです(フランス語は発音が独特のため他のラテン語族の人は彼らが何を言っているか分からないらしい)。以上のことが分かったので、語学学校でも自信を失わずに勉強し続けることが出来ました。最終的にはCEFRでA2~B1のレベルまで到達できました。また、若者の多い語学学校であったため、ほぼ毎週末飲み会が開催されました。ここでは、みんなの共通言語が英語であるため、イタリア語に限らず英語のスピーキング能力向上にもなりました。

この語学学校は、ほぼ毎日授業終了後にアクティビティを用意していました。私は月曜と水曜に開催されたパッセジャータに毎回参加していました。これは近場遠足のようなもので、語学学校の先生のガイドに従ってボローニャの史跡や公園をめぐり、街の歴史や文化について学ぶことができました。また、郊外にある丘陵までハイキングをすることもあり、自然豊かな散歩道を数キロ歩き丘の上の教会まで訪れました。道中、同世代の友達と英語で話したりイタリア語で頑張ってみたり、木の実を取って食べたりシャンパンで乾杯したり、とても貴重な経験ができました。

語学学校の時期は基本的にストレスフリーでしたが、イタリアに渡航してすぐに滞在許可書申請という関門が待ち構えていました。郵便局たらいまわしや、機能不全の予約サイト、必要書類が不明瞭など様々な問題がありましたが、これもいい経験だと思いタフに乗り越えました。4か月ほどたち滞在許可証を受け取りに警察署に行きましたが、その時にはある程度イタリア語でコミュニケーションを取れるようになっていて、自分の言語能力の向上を実感しました。
企業研修
いざ企業研修の初日に会社に向かうと、インターンシップだから最初の1週間は研修でもするのかなと思っていましたが、まさかの「仕事探し」から始まりました。いろいろな部署をめぐり、自分の機械工学の知識をいかして貢献できそうなプロジェクトを探すことから始めました。運よく、設計のプロジェクトが始動し始めたところだったので、そのプロジェクトにアサインされることになりました。一方、社内に自分以外の機械工学エンジニアがいなかったため、設計に関する全ての判断は自分の責任で行わなければならないという状況で、設計や製図に関するアドバイスを貰う事ができなかったので苦労しましたが、逆に自分が主体となりプロジェクトを進める事ができる良い経験になりました。日本のような新卒、伸びしろ採用ではなく、即戦力を求めるヨーロッパの就職事情がインターン生にも反映されていることを実感しました。
イタリア人の働き方については、自分がもっていた先入観と大きく異なりました。おしゃべりしながらコーヒーを飲みつつのんびり働く、というイメージを持っていましたが、実際には、朝8時半から17時半まで集中して働き、休憩中以外ほぼ私語はなしという働き方でした。日本で働いたことがないので比較はできませんが、メリハリのある時間の使い方であると感じました。

この企業研修中、設計が行き詰まる事も多々ありましたが、都度上司と相談をしてアイデアを出し合うことで一つ一つ設計課題を解決していきました。そして、研修終了間際になんとか設計プロジェクトを完成させることができました。初めてのインターンシップを海外で行うことは、もちろん大変で苦労する事もありましたが、それを乗り越える事で、大きな自信と頑張れば何事もなせるという確信を得ることができました。
最後に
私が1年間海外で無事に過ごせたことは、様々な関係者の皆様が支えてくださったからだと常々思います。技術・言語ともに未熟な私をU-SERIES S.R.Lの皆様には快く受け入れ、貴重な体験をさせていただきました。同じくインターンシップを行っていた同期の方々には、常日頃悩み相談など心の支えになりました。そして、このヴルカヌスプログラムを運営して頂いている日欧産業協力センターの皆様は、日ごろからサポートをいただきました。心より感謝いたしております。
おまけ
ヴルカヌスプログラム自体とは直接的な関係はありませんが同期との絆が深まり、忘れられない思い出となった旅行の記録の一部をおまけとして載せたいと思います。

サンマルコ広場に面した「カフェ・フローリアン」
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